研究内容

0.目次

  1. はじめに
  2. 補中益気湯の腸管免疫系を介した粘膜免疫系調節作用と作用成分の解析
  3. 小青竜湯の気道粘膜免疫系を介した薬効発現機序と活性成分の解明
  4. 香蘇散の抗うつ様活性の作用機序の解析、並びに薬効・投与の指標となる バイオマーカーの探索
  5. インフルエンザ感染症と漢方薬
    1. 麻黄湯の抗インフルエンザウイルス活性とその作用機序の解析
    2. 瀉白散のウイルス性気道炎症に対する改善作用の作用機序と活性成分の 解明
  6. 糖尿病における呼吸器粘膜免疫系異常と漢方薬の作用の解析
  7. 和漢薬および植物素材の高分子多糖(食物繊維)の腸管免疫系への作用の乳酸菌産生多糖との比較解析と産業利用
  8. 漢方薬の薬評価系を用いた新規有用成分の探索研究
    1. 薫り高い抗インフルエンザウイルス活性物質
    2. サポニン類の薬効発現メカニズムの解析とワクチンアジュバントの開発 研究
    3. 和漢薬由来のオリゴ糖をプローブとする新規有用シーズの構築

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1.はじめに

ヒトゲノムの解明により疾患関連遺伝子の解析が進み、多くの疾患がヒトの身体の複数の遺伝子の多型により引き起こされる多因子疾患であることが明らかとなってきました。感染症においても健常な個体への感染では病原体が原因となる単因子疾患として取り扱うことができますが、感染症の重篤化や難治化にはヒトの免疫系関連因子などの遺伝子一塩基変異などが関与することが疾患関連遺伝子の解析研究により明らかとなってきています。

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2.補中益気湯の腸管免疫系を介した粘膜免疫系調節作用と作用成分の解析

補中益気湯は約750年前に中国で開発された10種の植物性生薬から構成される漢方薬で、身体的・精神的消耗状態の各種の疾患の治療に用いられています。その適応症は多岐にわたります、その作用の本質は消化管機能に対する作用であると考えられております。医療用エキス製剤での比較臨床試験から、免疫弱者におけるMRSA気道保菌や無症候性MRSA尿症に対する予防・治療効果、抗がん剤による食欲不振、全身倦怠感や骨髄抑制の改善効果などが報告されており、毎年のエキス製剤の国内生産量が上位5位以内に入る頻用処方となっています。

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3.小青竜湯の気道粘膜免疫系を介した薬効発現機序と活性成分の解明

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)は、半夏、麻黄、桂皮、芍薬、五味子、細辛、甘草、乾姜の8種の生薬から構成される漢方薬です。西洋医学的には、鼻炎・アレルギー性鼻炎・気管支炎・気管支喘息・感冒等の治療に用いられています。当研究室では、小青竜湯煎剤エキス(北里東医研処方)の気道粘膜免疫系を介した薬効発現機序及び活性成分について、インフルエンザウイルス感染マウス及び気管支喘息(気道炎症)モデルマウスを用いて検討を行なっています。

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4.香蘇散の抗うつ様活性の作用機序の解析、並びに薬効・投与の指標となる バイオマーカーの探索

 香蘇散(こうそさん)はストレスが発症や増悪に関与していると考えられる症状(虚弱体質の人・高齢者・妊婦の初期の風邪症状、食事性蕁麻疹、過敏性腸疾患、消化性潰瘍、不眠症、自律神経の関与するめまい・耳鳴りなどの症状)の治療に用いられ、これらの症状の背景に抑うつ傾向がある患者にも処方され、臨床で効果をあげていることが報告されています。しかし、香蘇散の抑うつ症状に対する有効性の実験科学的検討はこれまでなされていませんでした。そこで、当研究室では香蘇散料エキス(北里東医研処方)の抗うつ様活性とその発現機序について、ストレス誘発性うつ様モデルマウスを用いて検討を行っています。

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5.インフルエンザ感染症と漢方薬

a.麻黄湯の抗インフルエンザウイルス活性とその作用機序の解析

麻黄湯(まおうとう)は最近、我が国においてインフルエンザの治療に臨床的に用いられている漢方薬です。麻黄湯は、臨床試験において解熱作用を示すことが報告されていますが、インフルエンザウイルスの増殖に対する作用は報告されていませんでした。そこで、当研究室ではインフルエンザウイルスを上気道感染させたマウスを用いて麻黄湯煎剤エキス(北里東医研処方)のインフルエンザウイルス感染に対する有効性と活性発現の作用機序について検討を行いました。

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b.漢方方剤「瀉白散」のウイルス性気道炎症に対する改善作用の作用機 序と活性成分の解明

瀉白散(しゃはくさん)は現在、主に中国で使用されている処方で、小児麻疹初期、肺炎、気管支炎、気管支喘息などの治療に用いられています。しかし、そのインフルエンザウイルス感染に対する有効性の実験科学的な検討はなされていませんでした。そこで、当研究室ではインフルエンザウイルスを上気道または下気道感染させたBALB/cマウスを用いて瀉白散煎剤エキス(北里東医研経験処方)の経口投与による抗ウイルス活性について検討を行いました。

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6.糖尿病における呼吸器粘膜免疫系異常と漢方薬の作用の解析

糖尿病の治療では漢方薬も臨床的には多用されていますが、糖尿病性腎症や神経障害を対象としており、呼吸器感染症の予防や改善の目的での臨床的な使用についてのエビデンスは構築されていません。当研究室では東洋医学総合研究所で糖尿病患者の補助的治療に頻用されている八味丸、牛車腎気丸および清心蓮子飲を対象に、高血糖病態での呼吸器粘膜免疫系の異常の詳細の解析、および本免疫異常に対するこれらの漢方処方煎剤の有用性に関する研究を行っています。

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7.和漢薬および植物素材の高分子多糖(食物繊維)の腸管免疫系への作用の 乳酸菌産生多糖との比較解析と産業利用

漢方薬や和漢生薬由来の高分子多糖成分(食物成分)もパイエル板に取り込まれ、本リンパ濾胞組織での免疫応答を調節することでその免疫薬理作用を発現すると考えられます。一方、乳酸菌やビフィズス菌の一部からは植物由来の高分子多糖成分とは異なる構造の多糖成分が産生分泌されることが明らかとされています。

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8.漢方薬の薬評価系を用いた新規有用成分の探索研究

a.薫り高い抗インフルエンザウイルス活性物質

これまでに当研究室では和漢生薬についてインフルエンザウイルスの増殖阻害活性を指標にスクリーニングを行い、霍香(Pogostemon cablin Benth.の地上部)から抗ウイルス活性成分としてpatchouli alcoholを見いだしてきました。本成分はセスキテルペンに属する製油成分で化粧品など香り成分として用いられています。今後はこの香り成分の活性の発現メカニズムに興味が持たれます。

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b.サポニンの薬効発現メカニズムの解析とワクチンアジュバントの開発研究

これまでに当研究室では和漢生薬から経鼻接種インフルエンザワクチンに対しアジュバント作用を示す生薬のスクリーニングと活性成分の特定に関する研究を進めてきており、和漢生薬の遠志(Polygala tenuifolia Willdenowの根部)のサポニン類(onjisaponin類)がアジュバント活性本体として明らかとなっています。

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c.オリゴ糖をプローブとする新規有用シーズの構築

漢方薬には脂溶性低分子成分や高分子多糖成分とともに種々の鎖長のオリゴ糖が含まれている処方があり、オリゴ糖成分が薬効成分となっていることが当研究室での検討から明らかとなってきました。このため、これらの活性オリゴ糖から有用シーズを開発できる可能性が期待されます。本か題ではオリゴ糖の作用発現に対する鎖長特異性やその作用発現メカニズムを解明する研究を目指しています。

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