北里大学大学院感染制御科学専攻講義(創薬科学I:担当 池田 治生)

授業科目名講 義 の 内 容
微生物創薬科学I(概要) 天然医薬品としての微生物代謝産物の重要性を解説し、生物活性物質を生産する微生物の多様性、およびこれらの微生物が生産する生物活性物質の生成における生物有機化学的、生化学的および遺伝学的機構について分子レベルで理解させる。
 生物活性物質を生産する微生物を真正細菌と比較し、分類学的、生理学的および遺伝学な特徴を解説する。また微生物における生物活性物質の生成過程を分子レベルで理解させるため、生物活性物質の生合成に関しての生化学的ならびに有機化学的な反応機構および生合成遺伝子群の構成、発現調節機構に関して解説する。さらに生物活性物質の生合成遺伝子の発現調節に関する遺伝子レベルでの理解を深めるため微生物遺伝学ならびに生物情報学の基礎を解説する。


科目概要
教育目標微生物学、分子遺伝学、生化学の基礎知識・技術を学び、さらに遺伝子情報を活用した生物活性物質の開発に関する方法論とそれを実現させる技術的展開法を習得させ、実験科学を着実に行うことのできる研究者を育成する。
教育内容微生物学の生産する生物活性物質に関する幅広い知識・技術を修得することを目的に、基礎領域のみならず関連の領域についても理解できるようにな講義を行う。


授業内容
回数項 目授 業 内 容
1回序論天然物医薬品としての微生物代謝産物の重要性を解説する。
2回生物活性物質生産微生物の多様性I生物活性物質を生産する微生物の分類学的な特徴ならびにその生理的特徴を解説し、これらの微生物の多様性について理解させる。
3回生物活性物質生産微生物の多様性IIバイオテクノロジーに関する技術を紹介し、創薬に関するこの技術の実際および応用について解説する。
4回生物活性物質生産微生物の多様性III未知の微生物の探索に関しての方法論を実際の例を示して解説する。
5回生物活性物質の生合成I微生物由来生物活性物質の生合成について具体例を挙げて解説し、基本的な生合成経路および生合成研究法について理解させる。
6回生物活性物質の生合成II同上。
7回生物活性物質の生合成II同上。
8回微生物遺伝学I微生物の遺伝学についてのゲノム解析がなされた真正細菌を例に挙げ、遺伝子レベルでの遺伝現象の機構を理解させる。
9回微生物遺伝学II生物活性物質を生産する放線菌および糸状菌などの工業微生物の遺伝学および物質生産に関する基礎的な遺伝現象を理解させる。
10回微生物遺伝学III最新の遺伝子操作の基礎および技術を紹介し、遺伝子改変・設計について解説する。
11回生物活性物質生産における遺伝子発現制御I現在までに明らかとなった微生物由来の生物活性物質の生合成遺伝子について解説し、基本的な反応過程について理解させる。
12回生物活性物質生産における遺伝子発現制御II同上。
13回生物活性物質生産における遺伝子発現制御III微生物由来の生物活性物質の生合成遺伝子の発現調節機構について、制御因子を中心に解説する。
14回生物情報学Iデーター解析に関するコンピュータ基礎知識を解説する。
15回生物情報学II遺伝子、タンパク質情報ならびに生物活性物質情報の検索方法ならびにデーター解析に関する方法論を解説する。

到達目標微生物の生産する生物活性物質に関する基礎知識を修得し、創薬に対する多面的な理解を深める。
評価基準レポートを提出させ講義の理解度ならびに講義への積極的な参加を評価する。
教科書 : 特に指定はない。

参考書 : 微生物薬品化学改定4版 南江堂

授業科目名講 義 の 内 容
微生物創薬科学輪講I(概要) 研究課題および関連する領域の文献を収集し、その内容および周辺領域を理解し、研究課題への応用する能力を養う。
 微生物および生物活性物質関連の文献から遺伝子発現および制御に関する最近の重要な論文を選び熟読させ、その内容を要約し紹介する。また、一つの課題に絞ってその関連の文献を検索収集し、最近の動向と自身の意見を発表するセミナーを行い、文献の検索力、内容の理解力および質疑応答の能力を促す。一方、生物情報ならびにデーター解析法を理解するためワークステーションを用いた基本操作法を解説する。
微生物創薬科学特別研究I(概要) 微生物由来の生物活性物質の創薬に関する研究課題を設定し選択する。課題を取り組むにあたり必要な技術を習得し、実験の計画、実施、情報収集ならびに考察ができるように基礎的な能力を開発し育成する。
 生物活性物質の生成に関与する遺伝子の機能解析ならびに発現調節に関する以下の研究課題を設定し、研究計画を立案、実行することにより、基礎的な科学研究を逐行する能力を育成する。なお、研究課題を選択する前に研究課題の解説と基本的な実験を行う。また、遺伝子解析を行うにあたりワークステーションを用いたの各種遺伝子解析法を指導する。
1. 有用生物活性物質生産微生物のゲノム解析から得られた情報をもとにプロテオームならびに転写解析を行い生物活性物質の生成に関与する遺伝子の機能および発現調節機構についての研究。
2. 生物活性物質生成に関与する遺伝子の機能領域の解析を行い、それらの遺伝子の機能改変ならびに機能統合による改変遺伝子を作製し、物質生産過程を人為的に制御することについての研究。